忘れ物はないね?:2013-08-13

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2013年08月13日(火)そしてまた珍道中

暑い盛りの、夏のツアーを終えて、ちょっと日記でも書こうかな、と思ったら、前回の日記のタイトルも珍道中。
一体どんだけ珍道中なんでしょう。
年柄年中珍道中。
ネンガラネンジュウチンドウチュウ、ってなんかとても語呂がいいですね。

そんなことはどうでもいいのですが、今回の珍道中は、2013年夏、「加藤千晶&ブラウンノーズのガッタントン珍道中」なのです。

かれこれ、ブラウンノーズに出会ったのは、おそらく、2枚目のアルバム「ライラックアパート103」が出た後。
なので初めて彼らをライヴに誘ったのはおよそ10年ぐらい前のようです。
あの、初めてブラウンノーズを観て、聴いた衝撃は忘れません。
それから、なんとか彼らと一緒になにかやりたい、と3枚目の「おせっかいカレンダー」にコーラスで入ってもらいました。
その時には、まだちゃんと本格的に参加してもらえるようなシステムがどちらにも整ってなくて、コーラスだけだったのですが、ライヴには時々誘ったりしていたと思います。
なにせ、ブラウンノーズはライヴが少ない。
なので、なんとかブラウンノーズのライヴを観ようと、半ば強引に自分のライヴと対バンでブッキングしたり。
それでもさすがに地方へはなかなか行けなかった。

で、去年、「蟻と梨」には、コーラスだけじゃなくて、演奏やアレンジやアイディアなんかも一緒に作ったりして、さらに一緒にツアーに出たい熱が高まったのでありました。
そんな時、レコ発で行った名古屋のTOKUZOで、「千晶さん、ブラウンノーズが名古屋で観たいんです。どうか名古屋にブラウンノーズと一緒に来てください」と言ってくれたお客さんがいました。
そこでじゃあ、ぜったい来年はブラウンノーズと来るね、と約束。

果たして今年の8月、お盆休みもはじまろうという猛暑の名古屋、大阪へブラウンノーズとの対バンツアーが実現したのです。

大人数のバンドでのツアーはそれはやっぱり大ごとで、体力も気力もいろいろ大変です。
特に今年は日本全国、最高気温をマークしただのしないだの、という猛暑で(ツアーの日程を決めた時は今年の始めで寒かったから、あんまり気がついてなかった)、一緒にまわってくれたメンバーのみなさんも本当に大変だったと思います。

それでも、ほんとにやってよかった。
わたしが一人で喜んでいるだけかもしれませんが、このメンバーで珍道中に出かけることができて本当にうれしかったです。

また、今回のツアーでは、思いがけない人たちがたくさん観に来てくださって、それもすごーくすごーくうれしかった。
なかなか普段会うことのない名古屋や大阪の人はもちろん、遠くに住んでいる人、東京からわざわざ応援に駆けつけてくれた人、何年も会っていない同級生、ひょっとしたらもう会えなくなってしまうかもしれない、と一時は本当に心配した人、本来ならこの時間にここに来られるはずのない人、それから、いつか会えるといいなあ、とぼんやり思っていた半分夢のような人などなど、あの場所で会えたすべての人たちと過ごした時間が、ほんとに素晴らしかった。

時間や距離を飛び越えていろんなものをみなさまからもらったりお返ししたり、知らされたり知らせたり、助けられたり助けたり〜♪みたいな。
距離も時間も関係なく、知ってる人も知らない人も、どこかで手を振れば誰かが振り返してくれたりなんかして、演奏しながらステージ上を振り返ったり、お客さんの顔を見たりして、なんだかいいなあ!と心から思ったのでした。

誰かがそうしてくれるように、私もどこかの誰かの「いってきます」や「ただいま」に「いってらっしゃい」「おかえり」と答えたい。
「チッ」と誰かが舌打ちしたら、「おうおう、どーしたんでい、おいらもムシの居所が悪いんでい」と酒でも酌み交わして毒を吐き出したりしたい。

ただの町のちっぽけな挨拶だけど、そんなちっぽけなコール&レスポンスがしあわせの原点じゃないかと思うのです。
こんなふうに思わせてくれるまわりのみなさん、ほんとにありがとう。
一緒に演奏してくれるメンバーのみなさんに、私たちの音楽を聴いてくれるみなさんに、場を用意してくれるみなさんに、私と出くわし、手を振ったり口笛を吹いたりウィンクをしたり挨拶を交わしてくれるすべてのみなさんに心から感謝します。

みんなで珍道中しましょう。
みなそれぞれの珍道中の途中で、声をかけたりかけられたり、迷惑かけたりかけられたり、傘をさしかけたりさしかけてもらったり、お醤油を借りたり貸したり。
それこそ珍道中のしがいがあるというものです。



[link:1304] 2014年05月13日(火) 22:11

2003年6月16日までの日記


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