『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:1277] 2012年09月08日(土) 15:38
ピアノの次に録音をスタートしてもらったのはけっちゃんこと高橋結子さん。
けっちゃんには、もうずいぶん長くドラムでサポートをしてもらっていて、かれこれ10年ほど一緒に演奏しているのですが、ほんとうにいつもびっくりします。
けっちゃんの、丁寧に曲に寄り添い景色を紡いでいくようなプレイ、そして、例によって抽象的な私の曲解説や、意味不明のリクエストを、まるでスポンジが水をしみ込ませるようにすぅっと飲み込み、次の瞬間、見事なまでにその景色を描いてしまう表現力の豊かさ。
一言でいうと、まるで「やわらかい大黒柱」。
風があっちから吹けばこちらへちょっと曲げて、そっちが濡れればそちらへちょっと軒を傾ける、みたいな(実際、そんな家はありませんが・笑)。
大黒柱でありながら、それでいて、逆にお家にすーっと寄り添ってもいて、一緒に建っている。
そんな、なくてはならない存在です。
デモを聴いてもらって、相談するのも
私「ここはねえ、チョキチョキしてほしいんだー。で、自然に、気がつかないうちに変なことになってっちゃう」
けっちゃん「あ!そーか、ハサミか!」
私「うん、じゃ、いってみるね」
けっちゃん「やってみまーす」
とか、
けっちゃん「あ、これ、いま水溜まりに入ってます」
とか。
私「もっとぽくぽく歩いてっちゃってときどき引っ張られて足がもつれる」
とか。
そんな説明の仕方はあんまり他では、というかよっぽどの信頼関係がないとできないのです。
そのあたりの隠れた背景も、楽しんで聴いていただけたら面白いと思います。