『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:1266] 2011年12月14日(水) 15:11
[link:1265] 2011年11月17日(木) 14:29
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[link:1263] 2011年09月24日(土) 17:42
[link:1262] 2011年09月24日(土) 17:42
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MANDA-LA2はもうかれこれ10年ぐらい前からとてもお世話になっている、東京でのホームグラウンド。
以前からワンマンシリーズを続けさせていただいているのですが、今年は自分の中での決め事の答えがなんとなく見つかるまで、少しの間編成の少し大きめなワンマンはお休みさせてもらっていました。
デュオまたはトリオ、というシンプルで小さい形でのライヴをやらせてもらいながら、ちょっといろいろ見直して考えよう、と思ったのでした。
その大きな理由は「新しいアルバムをとにかく作ろう」ということ。
どうも私は「記録をする」ことにあまり執着がないようで、特に、音楽はそもそもが「空気の振動」なんだし、あえて形に残しておかなくともいいのではないか、という気持ちがどこかにあって(でも、アルバムを作るのはただの『音楽の記録』というのとは別物の『創作物』だということもわかってるんですが)、どうしても新しい曲ができるとすぐにライヴでやってしまって、やってしまうともう今度は曲が勝手にどんどん育ってしまって、するとそれが面白いからもっとどんどんライヴで育ててしまい、今更それを改めてアルバムにという気持ちがどこかへ行っちゃう。
そしてそれと共に、「ライヴの編成を考える」というのも私にとってはとても重要で、全部が全部そうではないけれど、台本を役者に充て書きする脚本家がいるように、私もわりとこの人にこんなふうに入ってやってもらいたい、というのを充てて曲を作ってしまうことが多々あって、そうするとその編成でライヴをある程度続けることが新しいアルバムの構想とほぼ同じ感じになってしまって、そうするともうライヴでそれができていればそれで充分、そいう気持ちになってしまい、むしろ消えてしまうからこその「この場の演奏の魅力」というのが先に来てしまって、またアルバムから遠ざかってしまう。
それの繰り返しで、前回の「おせっかいカレンダー」以降、新曲はたくさんあるのにぜんぜんアルバムが作れませんでした。
でもやっとここへ来て、腹をすえてアルバムってものを作ろうと思えてきました。
それは「生まれて無くなっていく」という基本的な流れの中では、「アルバムを作る」ということすら空気の振動のひとつにすぎないんだなあ、ということにフと気がついたのでした。
「こどもがタンスに最大級にお気に入りのシールを貼る」のと少し似ているような気もします。
いま、最高にこのシールが貼りたい、と思ったシールをえいっと貼ってしまおう。
という気持ちで作ろう、と思っています。
だから今度のアルバムは「おせっかいカレンダー」のように、ぜんぶ編成や編曲をライヴでどんどん固めて行ってその結果できあがる、というものとはまたちがったものになると思います。
というようなことが見えてくると、今度は、編成が小さくても、大きくても、流動的でも、その時、そこで音を奏でてくれる人たちに曲を委ねればよい、と思うようになりました。
そうなると、これまでのように詳細に譜面を書くこともありますが、以前より「絵を描く」ような要素が多くなり、それはそれでまた面白いのです。
私にとって、一緒に演奏してもらう人たちは本当にかけがえのない大事な人たちで、それぞれの人たちが、それぞれの場でものすごく光を放ち、それをお互いに反射させたり、吸い込んだり、宙に浮かせたりして、それごと、また別の確固たる結晶のようなものにしてしまう、という唯一無二な存在です。
そういう人たちがいなければ、私の音楽はなんと頼りなく所在のないものになるでしょうか。
長く一緒に演奏してもらっている人、時々の人、新たにご一緒してもらうことになる人、存在のしかたは色々なのですが、出会う人は、出会うべくして出会っている人だと思っています。
バンドではないけれど、それぞれの人たちが違う色と違う筆や道具で一緒に絵を描いてくれる、バンド以上の存在だと思っています(勝手にですが)。
それが、今回のライヴタイトル、「今日の五人」などという極めて流動的で刹那的っぽいタイトルにもつながっています。
本来すべてのものは常に流動し刹那的であるけれど、それと同時に存在は確固たるもので、どんな「きょうの五人」も、「私にとっては絶対的な五人」なのです。
四人でも三人でも二人でも十人でも、です。
そしてそれはもっと広げると、応援してくださるお客さんや、いろんなタイミングで声をかけてくださったり、私が投げた何かを受け取ってくださる人たち、ひっくるめていうと、私が音楽を作り、演奏する場を与えてくれるまわりの人々もそう。
そんなまわりの人々に恵まれて、私は実に実に幸せ者です。
そんなうれしい気持ちで18日は演奏します。
この日の五人は
ドラム 高橋結子さん
ウッドベース 河瀬英樹さん
サックス・クラリネット 多田葉子さん
ギター 鳥羽修
ピアノ・歌 加藤
です。
お時間がある方は、吉祥寺 MANDA-LA2へどうぞおいでください。
19時半開演。
お待ちしています。