『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
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それにしてもこの数日がヒドイ。
頭がぼわっとしてしまうので、物事の判断が鈍るのがマズい。
そのぼわっとした頭で、とある駅のながーいながーいエスカレーターに乗っていた。
このエスカレーターの『ある特徴』については、以前からうっすら気にかかっていたので、乗る際には頭のどこかでそのことについて注意していたのだけれど、今日は頭がぼわっとしていたために、その注意が頭から消えていた。そして、そのうえ、くしゃみが出そうで出ないことに完全に意識が集中していたようで、乗った時には『左ひじを手すりについて』いたはずだったのに、気がつけば中間地点あたりで『左腕をべろーんと手すりにもたれかけて上半身ねそべっている』体勢になってしまっていた。
そう、このエスカレーターは『手すり部分だけが微妙に速い』エスカレーター。
いやいやいやいや、ありますって、こういうこと。このテのエスカレーターをあなどってはいけません。
『手すり』と『本体』が別速度という、エスカレーターとしては致命的と思われるような特徴を持つエスカレーターが、世の中には意外とある。そういうエスカレーターの手すりに手をおいた人にしかわからない、『手と体が....ズレて....ゆく....キモチ』、誰もが一度は感じたことあるでしょう。
中には3秒ごとぐらいに手の位置を変えないといけなかったりするようなヤツもある。いっそそのぐらいズレていれば、手すりに向かってツッコミまくることもできるのだけど、『微妙に』速いのはやっかいである。エスカレーターが長ければなおさらだ。そして花粉の季節だとさらに都合がわるい。
ほーんの少し、ほーんの少しずつ、水が岩を削るごとく、手と体はズレていく。おかげで、うっかり妙な体勢になりながら、向かいから逆に降りて来る人と目が合うはめになった。
なんとかしてもらえませんかね、あのエスカレーター。