『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:968] 2008年04月08日(火) 01:28
このところせっぱつまり気味の毎日でしたが、今日はエンディングテーマを作った映画の初号試写会に。
この映画は「中華学校の子どもたち」というドキュメンタリー映画で、横浜山手中華学校に通う子どもたちを通して、横浜中華街に暮らす中国の人々と中華学校の歴史を見つめたものです。子供たちのあっけらかんと元気な素顔を追うと共に、日本に暮らす中国の人々ならではの苦悩や中国の国内での問題などにも振り回された苦い歴史など、硬派なテーマをしっかりととらえていて、とても中身の濃いものに仕上がっていました。
ドキュメンタリーということもあり、監督さんの意向で余分な音楽は一切無し。その最後に子供たちの姿と一緒に流れる曲。そんなエンディングテーマを作るというのは、その映画の締めくくるのと同じぐらいの大役をいただいたわけでして、もちろん全力で作りましたが、大きなスクリーンでラストシーンを観るまでどきどきしていました。
当初、打ち合わせの時に見せていただいた時から、私の頭の中にはずっと中華学校のチャイムの音が印象に残っていて、あれやこれやと試行錯誤を繰り返した後、やっぱり思いはそのチャイムに行き着きました。それで、エンディングテーマはずっと昔から現在まで、そしてこの先も変わることなく授業のはじまりやおしまいを子供たちに知らせ続けるチャイムのような曲を作りました。私なりのチャイムです。今の時代、ノーチャイムの学校も増えているようですが、私はチャイムって好きです。時計の音もボーンボーンという音も好きです。それらは主張しているようでいて主張しているわけじゃない。誰かが聴いていようが誰も聴いていまいが、雑音に紛れようが飛び上がるほどびっくりされようが、関係なくお知らせし続け、見守り続ける肝っ玉のでかさ、というか、力強さというか、動じないものがあります。
それに比べたら私の作る音楽はまだまだヒヨっコな感じではありますが、気がついたらそこにあり、いつでもそこに居続けられる音楽であったらいいなあ、と思っています。
演奏は浅田実可(マリンバ)、河瀬英樹(ウッドベース)、関島岳郎(フリューゲルホーン、テューバ)、高橋結子(ドラム)、鳥羽修(ギター)、と私のピアノです。
音楽は一曲だけですが、みなさんのおかげですごくよい曲ができました。とても興味深い映画なのでたくさんの人に観てもらいたいです。公開の詳細が決まったらまたお知らせします。
試写会からの帰り道、目黒川沿いにせり出すように咲いている桜を堪能して束の間のお花見気分でした。
古書ほうろうさんでのライヴのチラシもやっとあがり、谷中根津千駄木界隈を中心にそろそろお手にとっていただけるようになる予定です。こちらもみなさまのお運び、お待ちしております〜!