『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:535] 2005年10月20日(木) 00:54
長谷川町子の『似たもの一家』っていうのを読んだら、『かんぴょう』という話があまりにもウチの話みたいで、読んでてこわくなった。『似たもの一家』というのはサザエさんでおなじみの隣の作家、伊佐坂ナンブツ先生一家の話で、いわゆるサザエさんの外伝的な話(厳密にはサザエさんたちは出てこないけど)。
で、『かんぴょう』は、伊佐坂先生のところへ弟ののん助から「もらいものだけど食べないから」とかんぴょうが送られて来たので、かわりに海苔を送り帰してやろうとするけど、そのままじゃ海苔がくしゃくしゃになってしまうので、そのへんにあった伊佐坂先生の書いた本の厚紙カバーに入れて送るよう息子のじんろくに頼む。じんろくは本のカバーに入れた海苔の包みにかけるヒモを探し、ヒモと間違えて送られてきたかんぴょうで荷造りしてのん助へ出す。のん助はかんぴょうが一昨年のものだとバレたのでヒモに使われたと勘違いし、更に、中から出て来た伊佐坂先生の本の中身も見ずに『一枚一枚息もつかずに見てしまいました。そのうま味にしばし恍惚とよってしまい. . . .云々』という礼状を出す、礼状を受け取った伊佐坂先生は『これが海苔の礼状か、あいつの作家志望にも困ったもんだ。』という話。
これを読んでまず思い出したのが『加藤家6Pチーズ事件』。
うちの母が、私の引越の時に、『蚊がイヤだからとりあえずしばしの間分. . . .』と、名古屋から香取線香を小さい巻きに折って6Pチーズの箱に入れて持ってきた。
受け取った私は引越のどさくさにまぎれてそれを掃除機入れにとりあえず入れた。2〜3日経って、自分で入れたことも忘れ、掃除機入れに6Pチーズが入ってるのに驚いて、中身も見ずに冷蔵庫へ。それから1週間ぐらい経って、そういえば6Pチーズがあったな、食べよう. . . . と箱を開けたら蚊取り線香が出て来て再度びっくり。という、漫画のような話。
他にもこういう類いの話がいっぱいあって、そのすべてはうちの母が発端だ。こうして長谷川町子の漫画を読めば読むほど、読むたびに、うちの母はやっぱり完全に『サザエ系』であることを再確認する昨今です。