『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:397] 2005年03月04日(金) 02:25
そこはもともとは江戸時代から続く「金魚屋」さんだったが、七代目だか八代目だかの社長が「もっと人々に金魚の良さに触れてもらおう」とレストラン&喫茶のお店をオープンさせたという大変不思議なお店だった。
場所がわかりづらいのだが、正面の入り口へたどりつくまでのお店の周りはすべて猫やカラスよけのために高い塀とその上に網がはりめぐらされており、敷地内がまったく見えないのがまずこわい。そしてその見えない敷地の中から時折「ボコッ、ボコッ」という妖怪人間ベムのオープニングのような音が静かに聞こえてくるのもこわい。
しかし、正面へまわるとお店自体はとても普通(?)のレストランで、やや普通でないところは入り口の外にたくさんの水槽やプチ釣り堀などがあり、金魚釣り(すくい?)や鯉釣りなども楽しめるようになっているという点。そしてメニューの1ページ目は金魚の説明という点。お店の料理もなぜか本格的な魚料理が多い(煮付けや干物や西京漬けの焼魚とか、懐石みたいなコースもある)のが多少気にはなったが、出す料理やお酒、お茶などにはそうとうこだわって厳選しているっぽかった。紅茶は良心的なポットで出て来てしかもポットが冷めないようにポットあっため器まで置いてくれ、ケーキもかなり丁寧に作ってあっておいしかった。
しかし、お店そのものはかなり洋風なゴージャス系の作りなのにもかかわらず、至るところに金魚グッズがあったり、トイレの入り口に和風の金魚が染められたのれんがかかっていたり、グランドピアノがあるもののその上には「金魚カレンダー」なるものが置いてあったり、ボーイさん(?)は蝶ネクタイでピシッとしているのに店主らしき作務衣の人がウロウロしていたりと、こだわりがあるのかないのかまったくわからないめちゃくちゃで中途半端な感じで、それがよかった。人ん家みたいで。しかし金魚に関してはすごいエキスパートなんだろうな。