『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の
中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ
[link:217] 2004年05月17日(月) 01:12
Bad Plusはニューヨークあたりですごい評価されてるらしいピアノトリオで、一応というか完璧に若手のバカテクジャズの人達だが、ジャズファンの中でも保守的な人たちには絶対ウケないだろうと思われるノンジャンルな変な人たちである。しかしかといってもおもちゃ箱的な感じ、というわけでは全然なく、もっとかなりかっちりしていて音楽的な土台もすごいし、しかも全然ポップじゃない、というかなり難しい所を突いてきている人たちのようです。
という前印象を持っていたのだけど、全体の印象は大体その通りだった。しかし、実際ライブで見るとその卓越したというにもほどがあるプレイはほんとすごかった。口では説明できないんだけど、まず最後まで全然拍子とかテンポとかがわかんない曲がある。わかる曲も途中でわからなくなる。弾いてる人を観てると、一応足でテンポなどをとっているのだが、すでにその取り方が何がなんだかわからない。でも突然何の合図もなくガシッと合うのだ。各人がまるでぐちゃぐちゃに弾いているとしか思えないような感じなのだけどもちろんそれはそのようにアレンジされているのだ。
いやーほんとにすごいもん観ちゃったなあ、というものでした。
それにしてもやはりブルーノートはニューヨークの老舗のジャズクラブだけあって、そのバンドを目当てに来るお客さんのほかに『単なるデート』とか『なんかパーティー終わったけど、盛り上がってるから帰るのにはまだちょっと..』という人々も多く、お店の雰囲気自体がもういわゆるライブハウスというところとはまったくちがう。お客さんひと組ひと組、係の人が案内してくれて、立ち見はいっさいない。ライブハウスというよりもレジャースポットなのだな、ということがよくわかった。それはそれでよいことである。
店内に入ると、その『バンドを目当てに来ている人』と『そうでない人』が一目瞭然である。バンドを目当てに来ている人はまず飲み物だけしか頼んでおらず。テーブルに着いても本などを読んだりして、ちょっとはこういうナイトクラブ的な雰囲気も楽しもう、というおアソビ感がまるでない。一方『今日は映画観る〜?どうする〜?たまにはサー、ライブハウスでジャズのライブとか観に行ってみなーい?』というデート組は二人してシャンパンなどを頼み、フォアグラのパテなどをパンに塗って食べたりしているのである。
その他のひやかし組はそろってトイレのブルーレット色、または芳香剤のボール色のカクテルなどを頼んだりしていて、そのカラーの違いがとても面白い。しかしなぜあのカクテルはあんなにトイレ色なのか?
人間観察も含め、とても楽しかった。