忘れ物はないね?:2003-07-07

『忘却』とは、忘れ去ることである。
人は『忘れる』という能力がなければ、絶望で生きていけないそうだ。
しかし、私にはそれらの忘れ物が大変愛おしく、また、そういった忘却の 中に存在する、私がかつて此処に存在していた証拠のかけらのようなものが、
どこか遠いところへでも散らばって、ある日ひょっと誰かのしゃっくりを止めたり
犬に遠ぼえをさせたりできないか、などと思うのである。
だから、私はこの日記を書くことにする。
この日記はその日にあった笑えることや、怒れることや、
その日に思い出した面白いことや悲しいことを記すためにある。どんどん忘れていくTwitterはコチラ

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2003年07月07日(月)傘を見にいった。

私の置き忘れ、紛失等により次々と無くなっていく傘たちの中で、唯一長年に渡り愛用できている傘がそろそろくたばってきた。なので出かけたついでに、あるお店の前にいっぱい並んでいた傘を見てみた。するとすかさずお店の奥からエプロン姿のおばちゃん(お店の人)が飛び出して来て、あれやこれやと次から次に広げてみせてくれ、ものすごい勢いで薦められた。そのマシンガントークもすごくて、『あ、これは細かいチェックね。こっちの色もあるの。で、あなたこの近くの人?』『あ、ええ、まあ。(別の傘を手にとる)』『あ、そっちは無地ね。なかなかない色よー。お母さんは元気なの?』『??あ、そうですね。』『あそ。じゃよかった。それは内側が花柄なの。それで働いてるの?』『え?母ですか?』『いやあなた。』『あ、ああ、ええ。』『今日は休みなの?』『あ、うう、ええっと、休みといえば休みですね。』『へえ、お家手伝ってるの?あ、それは骨が16本あるの。丈夫よ〜。それにしなさいよ。』『へえ、骨が...。蛇の目みたいですね。』『あ、蛇の目はまた違うのよ。蛇の目が欲しけりゃあるわよ。2万円ぐらいのと4万円ぐらいのだけど。うちはもともとが傘屋だからオリジナルよ。修理もしたげるわよ。あなた長女?』『はい?あ、そ、そうですね、長女は長女ですね。』『んじゃ、お母さんまだ若いんだ。あ、そっちはもうこの色ちがいがあるだけよ。もうお勉強しとくからそれにしなさいよ。で、仕事は何してんの?うちも娘がいるんだけど、保険会社の管理職で大変なのよ。』『へえ....。』という具合に、何の脈絡もなく結局は話を自分の娘の自慢へ持っていってしまうという、まさにミラクル飛び石戦法であった。で、私はというとその骨の多くて丈夫だという傘を買わせていただきました。なんか魔法にかけられてくるくる回されてるうちに傘を買わされちゃったような気がしないでもないが、それもあのおばちゃんのパワーなんだろうなあ。

[link:15] 2003年07月08日(火) 00:10

2003年6月16日までの日記


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